楽器界の秘宝、テルミンの魂を宿す「マトリョミン」の魅力

音を出すために楽器に触れるのが常識である中、テルミンという楽器は、アンテナに手を近づけたり遠ざけたりすることで、音階と音量を操り演奏するという、非常にユニークな存在です。その音色は、チェロやバイオリンを思わせる、どこか神秘的で幽玄な響きを持っています。しかし、このテルミン本体は現在、非常に希少で入手が困難な状況にあります。
そんな中、比較的容易に入手できるテルミンのミニチュア版、それがマトリョミンです。ここでは、そのユニークな楽器「マトリョミン」の魅力と、その背後にある深い価値についてご紹介します。

マトリョーシカ+テルミン=マトリョミン
マトリョミンとは、20世紀初頭に発明されたシンセサイザーの元祖とも言える電子楽器「テルミン」を、ロシアの伝統的な民芸品である「マトリョーシカ人形」の内部に組み込んだ画期的な楽器です。
その最大のチャームポイントは、そのサイズにあります。手のひらに乗るほどの大きさでありながら、内部にスピーカーを内蔵しており、単体で演奏を楽しむことができます。
構造的には、テルミンが持つ「音階(ピッチ)」と「音量(ボリューム)」をコントロールする二つのアンテナのうち、音量コントロールの機能を取り除き、アンテナに手を近づけることで音階のみを変えることに特化しています。これにより、演奏のシンプルさが向上しています。
もちろん、ヘッドホンジャックも備えており、ヘッドホンでの練習や、外部アンプに接続して大きな音量で演奏することも可能です。この「手のひらサイズで本格的な演奏が可能」という点が、マトリョミンの第一の魅力と言えるでしょう。
安定した演奏を可能にする「小さな本物」
世の中には、学研のテルミンミニなど、テルミンの小型版ガジェットが他にも存在します。しかし、これらの多くは演奏時に音程が不安定になりがちで、本格的な楽器として扱うには難しいものが少なくありません。
それに対し、マトリョミンは、プロの演奏家も使用するほど安定した演奏が可能な、精度の高いテルミンです。しかも、その演奏法は、本物の二本アンテナテルミンと同じ原理でピッチを操作することができ、「小さな本物」と呼ぶにふさわしい楽器なのです。
特筆すべきは、日本のテルミン演奏の第一人者である竹内正美氏がロシア留学から持ち帰った「テルミン式演奏法」と呼ばれる高度な奏法が、このマトリョミンでもしっかりと通用する精度を持っている点です。手の位置とピッチの繊細な関係を高いレベルで再現できるため、本格的な音楽表現を追求することが可能です
入手難の時代に輝くマトリョミンの価値
本記事執筆時点において、マトリョミンはまだ複数のオンラインショップで入手可能です。ただし、マトリョミンの人気モデルは生産中止となっているものもあるため、現在販売されているのは在庫品である可能性が高いです。興味のある方は、早めに確認されることをお勧めします。
購入にはある程度のお値段がかかるため、躊躇してしまう方もいるかもしれません。しかし、この価値を、入手が極めて困難になっている本家のテルミンと比較すると、その恵まれた環境が理解できます。
本物のテルミンの新品は現在、オンラインショップではほとんど販売されておらず、中古市場でもめったに出回ることがありません。仮に出回ったとしても、20万円以上という高値が付くことも珍しくない世界です。そうした状況を鑑みると、この価格で、人前でも演奏可能な安定性と精度を持つテルミンを手にできるマトリョミンの存在は、世界的に見ても非常に幸運なことだと言えるでしょう。(本記事はプロモーションを含みます)
マトリョミンは「一生モノ」の趣味となる
マトリョミンで弾きたい曲を自在に奏でられるようになるまでには、かなりの修練が必要です。しかし、毎日弾き続けることで、徐々に音程の掴み方や、手の動きのコツが身体に染み込み、自分なりの演奏スタイルが見えてきます。
世の中には、マトリョミンの演奏技術にも上手い下手があり、本当に熟練した方の演奏を聴くと、自分の未熟さを痛感し、「自分はまだまだ万年初心者だなぁ」と感じるものです。しかし、このように時間をかけて、生涯にわたって弾き方を深めていけるからこそ、マトリョミンは「一生モノの趣味」となり得る楽器なのです。
最新式のマトリョミン(ME04型など)には、自動キャリブレーション機能が搭載されています。これにより、ボタン一つで演奏に必要な安定した音階状態に設定できるため、全てを手動で微調整する必要がある本物のテルミンに比べて、初心者にとって格段に扱いやすくなっています。
そして、万が一、練習に挫折してしまったとしても、マトリョミンはロシアの民族人形「マトリョーシカ」の姿をしています。そのため、「まぁ、部屋の片隅に飾っておけば、素敵なインテリアにもなるし」という究極の言い訳が可能です。買って損はない、大人のための魅力的なガジェットであり、深い趣味の世界への扉を開く鍵となるでしょう。

