チェキの進化系、ポラロイドカメラという名の「大型チェキ」を再評価しよう

現在、富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ(instax)」は、若年層を中心に根強い人気を誇り、同社の業績を支える柱の一つとなっています。家電量販店の一角には、チェキ本体と多種多様なフィルムカートリッジが並ぶ専用コーナーが設けられているほどです。
中でも、最近登場した「チェキスクエア」などの機種は、四角いフォーマットで大きめの写真が撮れるようになりました。ここまで来ると、昭和世代の人間からすれば、「それって、もはやポラロイドカメラのことじゃないか」という思いが頭をよぎるのではないでしょうか。
ポラロイドカメラを生み出した米国のポラロイド社は、かつて経営破綻を経験しましたが、そのブランド名と革新的な技術は別の企業に引き継がれました。その会社は後に社名を「ポラロイド」に変更し、現在では「新生ポラロイド社」として、ポラロイドカメラを製造・販売しています。新生ポラロイド社によって、ポラロイドカメラは再び現役のインスタントカメラとして、デジタルの時代にあえてアナログの魅力を提供し続けています。
Polaroid
ポラロイドカメラが持つ「レガシー技術」の凄さ
ポラロイドカメラが世界を驚かせたのは、ただ「その場で写真が出てくる」という点だけではありません。技術的にも革新的な特徴を持っていました。
1.フィルムカートリッジ電源方式という発明
一般的なカメラが、最新のミラーレス一眼レフからチェキに至るまで、本体にバッテリーを内蔵しているのに対し、旧ポラロイド社の方式は、なんとフィルムカートリッジ側に電池が内蔵されていました。
この「フィルムカートリッジ電源方式」のおかげで、旧ポラロイド社時代の古いカメラでも、状態が良ければ現在でも使用が可能です。なぜなら、カメラ本体が電池を持たないため、液漏れによる内部回路の腐食や破損がほとんど発生しないからです。
さらに、この方式は「電池切れ」のストレスも大幅に軽減しました。フィルムカートリッジの撮影可能枚数(8枚や10枚など)に対して十分な容量の電池が内蔵されているため、仮にカメラが動かなくなったとしても、新しいカートリッジに交換するだけで即座に復活するという利便性がありました。
2.変わらないフィルムの互換性
そして、最も重要なポイントは、「現在発売されているポラロイドカメラ用のフィルムカートリッジが、旧式のポラロイドカメラと互換性がある(昔の方式を今も変えていない)」という点です。例えば、私が骨董市で見つけてわずか100円で購入した旧式のポラロイドカメラも、最新のフィルムカートリッジを入れれば今でも問題なく現役で撮影が可能です。このフィルム規格の互換性維持こそが、ポラロイドというブランドの歴史を繋ぐ最大の功績と言えるでしょう。
ポラロイドカメラのラインナップ
新生ポラロイド社は、旧来の技術を継承しつつも、カメラ本体をより現代のニーズに合うよう改良しています。小型化、軽量化、そして高機能化が進められており、手軽にポラロイド体験を楽しめる機種が次々と登場しています。(本記事はプロモーションを含みます)
もちろん、これらの新型カメラにも、旧型カメラにも使えるインスタントフィルムカートリッジが販売され続けています。
味わい深い旧型ポラロイドカメラ
しかし、古式ゆかしいアナログな雰囲気でポラロイド写真を撮影したいなら、旧型ポラロイドカメラがお勧めです。
特に注目したいのが、カメラ前面に丸い金色のスピーカーのような部品がついた**「AF(オートフォーカス)モデル」です。この金色の部品の正体は、実はソナー(超音波センサー)**です。超音波を飛ばし、その反射時間で被写体までの距離を測定するという、まるでコウモリのような方式でオートフォーカスを実現しています。
「そんな怪しい測定方式で大丈夫か?」と思うかもしれませんが、実際に使ってみると、驚くほどしっかりとピントの合った美しい写真が撮れます。
敢えて今、ポラロイドを始めるべき理由
インターネットで情報が瞬時に伝播し、スマートフォンのAIが全てを最適化してくれる時代だからこそ、あえて超アナログな方式で撮影するポラロイドカメラを趣味として始めてみてはいかがでしょうか。
「フィルムカートリッジが高い」と感じるかもしれません。しかし、現在のフィルムカメラで写真を撮る場合、フィルム代に加えて、現像代、データ化(CDなど)代、そしてプリント代などを合計すると、ポラロイドフィルムと同じかそれ以上のコストがかかります。
ポラロイドカメラなら、それらの工程が全て一瞬で完結します。瞬時にその場で、大きめのサイズの四角いプリントを手にすることができるのです。(なんせ元祖チェキですから)
「シャッターを切る瞬間」「写真が出てくるのを待つ数分間」「現れたプリントの独特の質感」。この一連の経験と、待つことの感動は、デジタル写真では決して味わうことのできない、貴重なものです。このアナログな贅沢を、ぜひ一度体験していただきたいと思います。ポラロイドカメラは、デジタル時代へのアンチテーゼとして、私たちに写真の本質的な楽しみを思い出させてくれるでしょう。




