thereminiというテルミンの使い道

従来からのアナログテルミンを弾いている方は、ほぼ100%この新しいデジタルテルミンthereminiは本当のテルミンではないと敬遠されます。確かにアナログテルミンの完成形であるetherwaveは素晴らしいテルミンなのですが、なんせもう入手不可能というレベルの希少品となってしまいました。そうなると「昔のテルミンは良かった」と言っているだけでは、テルミンを演奏するという文化は廃れてしまいます。だからthereminiというテルミンについても、その特徴を踏まえてテルミンの仲間として、その特性に合った使い方をすれば、アナログテルミンでは不可能であったような便利な使い方もできるので、適材適所で使っていこうというお話です。
thereminiの特徴
thereminiはシンセ音源を使ってテルミンをシミュレーションした楽器なので、デジタルならではの便利な特性があります。
- どの音を弾いているのか音階や高さがディスプレイでリアルタイムにわかる
- 音域を選択できる
- 音色を選択できる
テルミンを演奏していると微妙に音痴な演奏になることも多いものですが、それはまだ自分の演奏動作が出そうとしている音に一致しているかを耳だけで確認せざるを得ないからです。thereminiならLCDにC4のようにどの高さのどの音階を弾いているかが目でわかるので正しいポジションに修正する練習がしやすいです。
また音域をメニューで指定できるので、もっと広い音域にしておいて中音域を使いたいとか、全体的にもっと高い音域を使おうとか、そういった音域の選択がデジタルに可能です。
さらにシンセ音源なので音色を選択できます。アナログテルミンのような演奏をしたい場合、classic thereminの音色を選ぶことが基本ですが、他の音色も選択できるのでちょっとリバーブのかかった音色で演奏するなどということがテルミン一台でできるというのは大変便利です。
ちょっと上記と視点が異なりますが、thereminiは内蔵スピーカーを持っているので、マトリョミンのようにtheremini単体で演奏することが可能です。音のモニター用程度の音量ですが自宅での練習などの場合に、いちいちアンプにコードで繋がなくても音がでるのは便利です。
thereminiをテルミンとして純粋に使わないで効果音を出す機材としてのみ使うという方も多いかもしれませんが、thereminiをテルミンとして使う方法が購入時のマニュアルにも書いていないために、その使い方を知らないで使っていたという方のために、thereminiをアナログテルミンに極力近い操作で演奏できるようにする設定の説明をしておきます。
テルミン・モードの設定手順
thereminiは正しい音階を弾きやすくするためにピッチ補正機能がデフォルトで有効になっています。この状態では選択した音階の音だけが鳴るようにピッチ補正がされ音階と音階の間の中間音は出ないようになっています。アナログテルミンは無限に中間音が場所によって出せるのが本来なので、下記の操作でtheremin modeを有効にする必要があります。
- アドバンスト・セットアップ・メニューへのアクセス
- SETUPボタンを数回押し続けて、画面に「ADVANCED SETUP」メニューが表示されるまで進めます。
- テルミン・モードの選択とON
- EFFECTボタンを押して、エディットモードに入ります。
- メニューの中から「Theremin Mode」を見つけます(上から3番目あたり)。
- VALUE/SELECTノブ(画面右側の大きなノブ)を回して、「ON」に設定します。
- エディット・メニューを終了
- EFFECTボタンを押してエディットメニューから出ます。この時点では、まだ通常の画面(ピッチ補正が有効な状態)のままです。


- テルミン・モードの有効化
- SETUPボタンをもう一度押します。SETUPボタンがデフォルトモードとthereminモードのトグルの切り替えスイッチになっています。
- LCDの左側にPitch、右側に Volumeの表示が出れば、テルミン・モードが有効になっています。

- テルミンモードでのピッチ修正とボリューム修正
- テルミンモードになるとLCDに表示されている通り、Pitchノブでアナログテルミンのようにピッチの修正ができ、手動でゼロポイントを設定できます。
- Amountノブを回すとボリュームの設定ができます。このボリュームとは音の大きさを変える本来の意味でのボリュームの制御です。アナログテルミンではボリュームアンテナの感度調整のことをボリュームノブで行うのとは異なります。(Volumeノブはキャリブレーションでボリュームアンテナの感度調整に使います)
- テルミンモードでもデフォルトのピッチ補正モードでも、ピッチアンテナ、ボリュームアンテナの感度調整は、theremini独自の自動キャリブレーション操作で行う点に注意してください。thereminモードにしたからといって自動キャリブレーションが不要になる訳ではありません。自動キャリブレーションされていることを前提に、微調整をthereminモードでできるという作りです。
- thereminモードでの設定変更や自動キャリブレーション方法
- テルミンモードの中でthereminiの設定を変更するにはSETUPボタンを押した状態で別なボタンを押すことで、設定モードと自動キャリブレーションを実行できます。thereminモードに切り替えてしまったthereminiでも演奏場所が変われば自動キャリブレーションが必要ですが、その際にデフォルトモードに戻す必要はなく、thereminモードの中で設定ができるという訳です。
- thereminモードでのお勧めの音色選択
- thereminモードなので、基本的な音色の選択は01 CLASSIC THRMNです。
- 09 FLUTTERFLYはちょっとシンセ的な音色ですが、逆にアナログテルミンとは異なるthereminiらしい音色で、thereminモードによく合います。この音色は名前の通りフルートをシミュレートしたものです。
まとめ
thereminiはmoog社のテルミンの中では、etherwave proの流れを組むデジタルテルミンで、アナログテルミンのようにアナログな調整ではなく、メニューからの選択で設定を変えられるナウいテルミンです。
その特性ゆえに従来のアナログテルミン愛好者からは敬遠されがちですが、テルミンモードにして使うことで、デジタルの良さとアナログの良さをハイブリッドしたようなテルミンとして使うことができます。
特にテルミン初心者でまだどの操作でどの音が出せるのか掴めていない方や、中上級者でもより精度の高い演奏にレベルアップしたい時などに、thereminiは役立ちます。なんといっても本家のEtherwaveテルミンに比べて軽くて小さいので持ち運びに便利で、温度などの物理的条件の影響を受けにくいモバイルテルミンとしても使い道があると思います。このあまり知られていないテルミンモードにしたthereminiは結構使い道があるので再評価されることを期待します。

