二眼レフカメラの魅力とは?アナログ写真が与える贅沢な時間

少し前の話になりますが、英国王室を克明に描いたドラマ『ザ・クラウン』をご覧になった方も多いのではないでしょうか。特に印象に残っているのが、マーガレット王女の恋人として登場する新進気鋭の写真家が、ローライフレックス(二眼レフカメラ)で写真を撮影するシーンです。ウェストレベルでピントを合わせ、カシャッとシャッターを切り、そしてクランクでフィルムを巻き上げる一連の動作。その姿が、当時の私には「超かっこいい」と映りました。彼の被写体への真摯な眼差しと、クラシックカメラが醸し出す雰囲気が、なんともフォトジェニックだったのです。
なぜ二眼なのか?—構造から探る魅力
そもそも二眼レフカメラとは、名前の通りレンズが二つあるのが最大の特徴です。一つはファインダー(フォーカス合わせ)用、もう一つが実際に撮影するためのレンズです。この構造のおかげで、一眼レフのように撮影レンズとファインダーが共通ではないため、シャッターを切る瞬間にファインダー像が消えるブラックアウトがありません。また、レンズシャッター方式が多いため、動作音が静かで、風景やポートレート撮影において被写体を驚かせることが少ないという利点もあります。
しかし、このカメラの真の魅力は、その「アナログの極み」たる操作性にあります。この種のカメラは、露出やシャッタースピードを自分で決めるマニュアル操作が基本。つまり、デジタルカメラのようにカメラ任せにすることはできません。周囲の光の状況をしっかりと観察し、露出計を使うか、あるいは長年の経験と勘を頼りに設定を調整する必要があります。これは、一枚の写真とじっくり向き合う時間を私たちに与えてくれます。

ローアングルが叶える「いつもと違う視点」
二眼レフカメラで撮影する醍醐味の一つが、ウエストレベルファインダーによって実現する独特のローアングルです。カメラを腰や胸のあたりで構え、上からフォーカシングスクリーンを覗き込んで撮影します。
このスタイルで撮る写真には、ハッとさせられるような魅力があります。例えば、何気なく庭先の花を撮っても、ローアングルによって空や地面が大きく画面に入り込み、普段見慣れた光景がまるでゴージャスなアート作品のように写ることがあります。また、太陽を浴びるひまわり畑を撮影すれば、花々が空に向かって伸びる力強い構図が生まれます。

さらに、上から覗き込むスタイルは、地面スレスレのローアングルでも体勢を崩すことなく、快適に構図を決めることができるため、撮影が全く苦になりません。被写体との間に自然な距離感と親密感が生まれ、リラックスした表情を引き出しやすいという効果も期待できます。
贅沢なフィルム「ブローニー」との付き合い方
二眼レフカメラの多くは、ブローニー(120)という、一般的な35ミリフィルムよりも大きなロール型のフィルムを使用します。このフィルムは、画質が良い反面、価格もやや高めで、標準的には12枚撮りという少なさです。現代では35ミリフィルムも高価になっていますが、ブローニーはさらに「一枚を大切に撮る」という意識を強く持たせてくれる贅沢品と言えるでしょう。(下記リンクにはアフィリエイトリンクが含まれます)
また、ブローニーフィルムはデリケートです。「生もの」*的な性質があるため、一度開封したらできるだけ早く使い切るのが鉄則。さらに、フィルムのセットと取り出しも一筋縄ではいきません。暗闇でフィルムをスプール(軸)に手探りで巻き付けなければならないため、ダークバッグ(チェンジバッグ)という簡易暗室が必要になります。初めて挑戦するときはスリリングかもしれませんが、この手間暇もまた、フィルムカメラならではの儀式として楽しむことができます。
現像に出す際も、ブローニーに対応していない店舗もあるため、郵送で現像とプリントを請け負ってくれる専門業者を探すなどの工夫が必要です。コストはかかりますが、手間をかけた分だけ、仕上がった写真を見たときの感動はひとしおです。
アナログの極みへの挑戦
デジタル時代だからこそ、あえてアナログの極みとも言える二眼レフカメラを持って街に出かけることは、新鮮な発見に満ちています。時間をかけて構図を決め、光を読み、一枚一枚を丁寧にシャッターを切る。その撮影している姿そのものがフォトジェニックであり、周りの人々を惹きつける魅力さえあります。
もし、あなたがこの特別なカメラに興味を持たれたなら、一度骨董市やクラシックカメラを扱う店を覗いてみることをお勧めします。掘り出し物として安価に手に入れられる機会があるかもしれません。
二眼レフカメラは、シャッターを押す行為の先に、「写真とは何か」「何を写したいのか」という根源的な問いを私たちに投げかけてくれます。手間を楽しむ、そして待つ時間さえも愛おしくなる。そんな新しい写真体験に、あなたも挑戦してみませんか?

